ワイヤー・スタントとCGと特殊メイクとヘンテコなコスチューム。これが21世紀の娯楽アクションの主流。サム・ライミ「スパイダーマン」、クリストファー・ノーラン「バットマン(ダークナイト)」、それぞれにみんな面白い。
大人も楽しめる子供映画と子供向けのネタで作った一般映画のちょうど中間くらいのバランスが良い。何度見ても面白い。
封切り時の邦題は、第1作のみカタカナの「X-メン」だった。
冒頭にアウシュビッツのユダヤ人収容所を配置したのが、全体のテーマにつながっていて秀逸。母親と強制的に引き離された少年(のちのマグニートー)。
その建屋の、高い塔(煙突?)までしか見せない配慮も良い。
ストーリーの主軸が、ウルヴァリン(超合金の爪と死なない身体=ヒュー・ジャックマン)と、ローグ(直接触れた相手の生命力を奪う=アンナ・パキン)と、恵まれし子らの学園のプロフェッサー(パトリック・スチュワート)とマグニートー(イアン・マッケラン)の対立と、3本立てながら混乱なくブレないのは、脚本家の功績大。
馬鹿馬鹿しいデザインのキャラクターがコミカルに浮かないのは監督の功績大。
ウルヴァリン誕生の謎も、ローグの将来も、次作以降へと持ち越しになったが、不満はない。
クライマックスにニューヨークの自由の女神を持ってきた。
ヒッチコック・ファンはここでニヤリと笑う。
ミュータント隔離政策(ジョセフ・マッカーシーの赤狩りだな)のケリー上院議員を演じていたのは「いちご白書」のブルース・デイヴィソン。懐かしい顔(ミュータント化されてブヨンブヨンになるけど)。
DCコミックとマーベル・コミックの区別もつかないオッサンでも充分楽しめた。
点