ビッチェズ・ブリュー・ライヴ:マイルス・デイビス
February 12 2011
最近購入ジャズ・ディスク
このところ穏健なボーカル・アルバムばかりで、かつて喧嘩自動販売機と忌み嫌われた性格が丸くなりつつある。
ちょい刺激が欲しくなってたところ……今年(2011年)はマイルス生誕85年、そして没後20年。
タイミングよく電化マイルスの未発表音源が発売されたので早速購入。
MILES DAVIS BITCHES BREW LIVE
01-03
マイルス・デイビス(tp)
チック・コリア(el-p)
デイヴ・ホランド(el-b)
ジャック・ディジョネット(ds)
04-09
マイルス・デイビス(tp)
ゲイリー・バーツ(ss、as)
チック・コリア(el-p)
キース・ジャレット(org)
デイヴ・ホランド(el-b)
ジャック・ディジョネット(ds)
アイアート・モレイラ(perc)
01 Miles Runs the Voodoo Down (10:26)
02 Sanctuary (03:58)
03 It's About That Time/The Theme (09:40)
04 Directions (07:30)
05 Bitches Brew (10:09)
06 It's About That Time (06:17)
07 Sanctuary (01:10)
08 Spanish Key (08:15)
09 The Theme (02:10)
Recordeing Date:
01-03 1969年7月5日 ニューポート・ジャズ・フェスティバル(Live)
04-09 1970年8月29日 ワイト島ロック・フェスティバル(Live)
Release Date:February 8, 2011
Sony Legacy
1970年代ミュージック・シーンに巨大な波紋を生じさせた超問題作『ビッチェズ・ブリュー』(CBS/1969年8月)の前後に行われた、電化マイルスのライブ録音盤。
1970年8月29日のワイト島ライヴは既に DVD等でも発売されていたが、1969年7月5日のニューポート・ライヴはこれが世界初公開。音の洪水を背景に、マイルスの鮮烈なパフォーマンスが疾走する。
ニューポート・ライブ(01-03)のカルテット演奏が「ロスト・クインテット」と呼ばれるのは、出演予定だったウェイン・ショーターが遅刻してしまったため。これが原因でショーターはマイルス・バンドを馘になった。というのは大嘘だが、『ビッチェズ・ブリュー』録音のあと、マイルス・バンドのサックス奏者は交代。4曲目以降のワイト島ライヴではゲイリー・バーツがソプラノとアルトを吹いてます。
やっぱりワイト島の演奏は凄いッスね!
『ビッチェズ・ブリュー』の成功で自信満々、勇気百倍、夜郎自大、威風堂々。手兵のバンドが繰り出す百万変化の電化サウンドを相手に、マイルスがバリバリ吹きまくって爽快極まりない。
といってニューポート・ライブが弱っちいわけではなく、帝王マイルスはいつもに増してバリバリ。チック・コリア他のメンバーが、電化マイルスの新局面にまだ馴れてなかったのかも知れないし、遅刻欠席のショーター抜きで演奏が始まったので戸惑っていたのかも知れない。ワイト島と比べるとサイドメンのまとまりが悪い。
音質はどちらも良好。
ところで……昔々、か細い音でスタンダード・ナンバーを切々と吹いていたマイルスが好きな人(私もそうです)は、電化以後のマイルスは別人だと割り切ったほうが精神衛生によろしいです。
チャーリー・パーカーのバンド出身で、しばらくジャズの世界で演奏活動していたせいか、マイルスの音楽はジャズにカテゴライズされるけど、このアルバムは間違いなくロック・ミュージック。
帝王マイルス本人が、「世界ナンバーワンのロック・バンドを作る!」って豪語してやってるんだもの、ロックですよ、これは。
こんなものまでジャズに入れるから、「ジャズは死んだ」とか、広義のジャズとか、変なことになっちゃうわけで。ジャズ・オンリーな人は、バッサリ切り捨ててしまったほうが絶対にいい。
大音量で2回続けて聴いたら、五臓六腑に刺激が充満。なんか、矢鱈と人を殴りたくなっきた。
しかし、なんで電化マイルスを聴くと喧嘩したくなるんだろう?
こんなんじゃ社会生活に支障が出そうなので……
明日から、また穏健融和なボーカル盤に戻ります。