環境悪化により人類滅亡のカウントダウンが始まった近未来の地球。
NASAは人類が居住可能な惑星を求めて、宇宙の彼方に調査隊を送り込む。
最新の特殊撮影テクニックを得て、ついに「2001年宇宙の旅」「惑星ソラリス」に比肩するSF映画が現れたと思う。
砂漠化する地球、氷の惑星、海の惑星とCGを駆使した迫力のヴィジュアルがバラエティに富み、冒険映画としての面白さがある。三代にわたる親子の話。時空間を超越する宇宙物理学。この3つの要素がストーリーを巧みに構成して淀みなく、2時間50分の長丁場をダレさせない。
クリストファー・ノーランの才気が遺憾なく発揮された傑作SF映画。
ジョン・リスゴー、マシュー・マコノヒー、ジェシカ・チャステイン、ケイシー・アフレックの家族と、マイケル・ケインとアン・ハサウェイの父娘。ストーリーを牽引する2組の家族関係が丁寧に描かれ、ハードSFでありながらハートウォームな感動を呼ぶ。
相対時間がズレるウラシマ効果によりマシュー・マコノヒーが老齢となった娘(エレン・バースティン)と再会するシーンは筆舌に尽くしがたい。
超遠距離惑星間移動、時空間を超越して繋ぐワームホール理論とか、子どもの頃からハードSFを読んできたおれにもよく分からんのだけど、そしてそれが子ども部屋の本棚の裏側と連接していたという理屈はずいぶん都合の良い話だと思わないこともないのだけど、法螺話のロジックとしてナンセンスに浮いてないところを評価したい。
少なくとも「2001年宇宙の旅」のスターゲイトよりは面白く見られるイメージ・デザイン。
NASAの計画がひとりの天才科学者(マイケル・ケイン)によって策定されたのはどうかと思ったものの、ミッションのシークェンスが二重三重に準備されていたのは説得力があった。そのぶんエピソードが増えて上映時間が長くなったが、ミステリ仕立てで退屈しない。
コメディリリーフとして登場するAIロボットがユニークで、危急の際には頼もしい活躍をみせる。90パーセントの本音と10パーセントの建前でプログラミングされているという、このデザインを考えたスタッフは天才だろう。「2001年宇宙の旅」のHALよりはこっちが好きだ。
ラストの開放感が見終わったあと爽快な気分にしてくれる。
クリストファー・ノーランだから、暗くて悲しい映画で終わるのかと心配したよ。
点